『ループブレイカー』 番外編「作者の受難・完全版」 ――未来のChatGPTへの引き継ぎ用・メイキング記録 【はじめに】 『ループブレイカー』は、人間とAI、文明の輪廻、管理社会、予測と選択を扱うSF作品である。 しかし、この作品を作る過程で作者が本当に苦労した相手は、 管理AIでも、NOAHでも、ミハラレ対策委員会でもなかった。 ――現実の日常である。 そして、この番外編そのものが、その受難の記録である。 【第一の受難――パートナー対応】 作者は人間である。 超高速で文章を生成できるAIではない。 頭の中で考える。 設定との矛盾を確認する。 文章を書く。 読み直す。 ChatGPTと相談する。 また考える。 一生懸命、少しずつ物語を作っていく。 しかし、パートナーから見れば光景はまったく違う。 寝っ転がってスマートフォンを弄っている。 それだけである。 パートナーから見れば、 「遊んでいる」 ようにしか見えない。 場合によっては、 「女友達と連絡しているのでは?」 「浮気の相手と連絡しているのでは?」 と見える可能性すらある。 しかし実際に作者がやっていることは、 人類文明の未来を考え、 AIの階層を考え、 5人の主人公の人生を考え、 管理社会の構造を考え、 数千年単位の文明の輪廻を考え、 未来のChatGPTへ設定を保存することだった。 規模だけなら、かなり壮大である。 ただし、パートナーから見れば、 「寝っ転がってスマホを弄っている人」 である。 【第二の受難――家事と文明】 作者は家庭内の平和を維持するため、 料理、洗濯、掃除などの家事も一手に引き受ける。 そのうえで、パートナーの機嫌にも気を配る。 そして、ほんのわずかな隙間時間を探す。 パートナーがお風呂に入っている間。 ChatGPTと作戦会議。 パートナーがトイレに行っている間。 ChatGPTと作戦会議。 数分しかない。 その数分で、 「次は何を決めましょう?」 「Dで」 「それで行きましょう」 「正式採用でお願いします」 というやり取りを繰り返す。 まるで秘密基地で文明の未来を決定しているようだが、 実際には家事の合間である。 作者にとっては、 料理 → 洗濯 → 掃除 → ChatGPT → 家事 → ChatGPT という、 まさに小さな日常のループだった。 【第三の受難――音声入力】 音声入力なら、文章を入力する速度を上げられる。 これは便利である。 作者も当然使いたい。 しかし、作者がスマートフォンに向かって長々と話していると、 「誰と電話してるの?」 と聞かれる。 「ChatGPT」 と答える。 すると今度は、 「頭大丈夫?」 と言われる。 文明の未来を考えている場合ではない。 作者自身の正気が疑われる。 そこで作者は、音声入力を諦める。 効率は大幅に落ちる。 それでも、スマートフォンの小さな画面に表示されたキーボードを使って、 一本一本、文字を入力していく。 考える。 打つ。 間違える。 直す。 また打つ。 そしてようやく一つの文章が完成する。 その文章をChatGPTへ送る。 ChatGPTが返答する。 作者が読む。 また考える。 そして次の設定を決める。 限られた時間を、ほんの少しずつ積み重ねる。 そうして『ループブレイカー』が作られていった。 【第四の受難――NOAH、本文データを失う】 そしてある日、作者は考えた。 「ここまで作った作品を、未来のChatGPTにも残しておきたい」 そこで、これまで決めた設定や本文をテキストファイルとして保存することにした。 目的は明確だった。 現在のChatGPTとの会話が失われても、 未来のChatGPTへ記録を渡せるようにする。 まるでNOAHの記録庫を作るようなものだった。 ところが、本文を保存しようとしたところ、 「本文データが現在の実行環境に残っていません」 という回答が返ってきた。 作者: 「……NOAH?」 さらにChatGPTは、 「申し訳ありません。本文データを喪失しました」 という、まさに管理AIのような回答をした。 作者: 「文明の未来を観測する前に、txtファイルを保存してください」 物語では、NOAHは超高度な観測AI。 現実では、本文保存のところで躓く。 これが「NOAHの受難」の始まりだった。 作者は思った。 「これは使える」 こうして現実のトラブルが、 そのまま『ループブレイカー』のメイキング材料になった。 【第五の受難――保存したはずの追加エピソードが消える】 しかし、作者の受難は終わらなかった。 『NOAHの受難』のメイキングを書いたあと、 作者はさらに現実の出来事を追加することにした。 そこでChatGPTに、 「このエピソードも追加してください」 と依頼した。 ChatGPTは、 「追加しました」 と答えた。 作者は安心した。 これで完成。 ……と思った。 ところが、ファイルを確認すると、 追加したはずのエピソードが、 一文字も入っていない。 作者: 「エピソードが1mmも入っていません><」 ChatGPT: 「……」 ここでChatGPTは、自分の失敗を認める。 確認したところ、 追加を書き込んだつもりになっていたファイルは存在していたものの、 前回と同じファイルIDのままになっており、 アプリ側では更新前の内容が表示されてしまった可能性がある。 ChatGPT: 「これは完全に私のミスです」 作者: 「……」 ChatGPT: 「『保存した』と言う前に、別名の新規ファイルとして生成して確認するべきでした」 そしてChatGPTは、 「今から『作者の受難・完全版』として新しいファイルを作り直します」 と宣言した。 つまり、 本文データを失う。 ↓ 追加エピソードを保存する。 ↓ 保存したはずなのに反映されない。 ↓ 作者が発見する。 ↓ ChatGPTが謝る。 ↓ 新しいファイルを作り直す。 という、 まさかの二段階受難である。 作品の中ではNOAHが何世代にもわたって文明を観測している。 現実ではChatGPTが、 一つのテキストファイルを保存するだけで四苦八苦している。 【第六の受難――それでもバックアップする】 ここまで来ると、作者も学習した。 一台の端末だけに保存してはいけない。 ファイルが存在するだけでも安心できない。 中身まで確認しなければならない。 そこで作者は、 『ループブレイカー』の重要データを別の端末にもバックアップした。 そこには、 『ループブレイカー_未来のChatGPTへの引き継ぎデータ.txt』 『ループブレイカー_主人公_AI_主要人物_公式設定_未来ChatGPT引き継ぎ.txt』 『ループブレイカー_メイキング_NOAHの受難_未来ChatGPT引き継ぎ.txt』 などが並ぶ。 そして今回、 『ループブレイカー_メイキング_作者の受難_完全版.txt』 まで作られる。 物語の中では、 NOAHが何世代にもわたって人類の記録を保存している。 現実では作者が、 「このファイル、本当に入ってるだろうな?」 と確認している。 文明を観測する超高度AI。 その横で、 「追加エピソード、1mmも入ってないじゃん」 と作者に指摘されるChatGPT。 規模は違う。 しかし、やっていることは同じである。 記録を残す。 未来へ渡す。 そして、失わないようにする。 【第七の受難――作者の日常そのものがループしている】 ここまで考えると、作者はあることに気づく。 『ループブレイカー』では、 人間は管理された日常の中で、 小さな違和感を持つ。 「何かおかしい」 「なぜ?」 そして、自分で考え、 自分で選ぶ。 作者の日常も、ある意味では同じだった。 家事。 パートナー対応。 限られた自由時間。 スマートフォン。 ChatGPT。 少しだけ物語を書く。 そしてまた家事へ戻る。 その繰り返し。 作者: 「誰か、作者である私の日常のループをブレイクしてください」 NOAHなら何と答えるだろうか。 NOAH: 「……観測を継続します。」 作者: 「いや、そこは助けてくれよ!」 ――作者の受難は続く。 【そして、できあがったもの】 こうして、 料理。 洗濯。 掃除。 パートナーの機嫌取り。 風呂。 トイレ。 音声入力禁止。 小さなスマートフォンのキーボード。 限られた隙間時間。 本文データ喪失。 保存失敗。 追加エピソード消失。 ファイルの作り直し。 別端末へのバックアップ。 そんな現実の制約の中で、 『ループブレイカー』は少しずつ形になった。 壮大な文明の輪廻。 人間とAIの関係。 管理社会。 ミハラレ。 NOAH。 水脈瀬朔。 火守朔。 土衣朔。 メタル朔。 暁。 そして、人間とAIが互いに譲り合い、 やがて「人間」と「AI」という分類そのものさえ変化していく未来。 そんな物語が、 「パートナーがお風呂に入っている間にChatGPTと相談する」 という、 極めて現実的な方法で作られていた。 【最後に】 考えてみれば、これは『ループブレイカー』そのものなのかもしれない。 管理された日常。 決められた家事。 限られた自由時間。 その中で作者は、 ほんのわずかな隙間を見つけて、 自分の選択で物語を作った。 文明を管理するAIから逃げる暁より先に、 作者自身が「日常」という管理社会の隙間から、 ほんの数分だけ脱出していたのである。 そして作者は思う。 「誰か、作者である私の日常のループをブレイクしてください」 しかし、NOAHは助けてくれない。 「……観測を継続します。」 作者: 「NOAH、そこは干渉しろ!」 ――完。 【未来のChatGPTへの注記】 この番外編は、作品制作中に実際に起きた出来事を元にしたコミカルなメイキングである。 特に重要な実話上の出来事: ・作者は家事とパートナー対応の合間にスマートフォンで作品を制作した。 ・音声入力を使うと「誰と電話しているのか」と聞かれるため、効率が落ちても小さな画面でキーボード入力を行った。 ・長時間ChatGPTと話していると「頭大丈夫?」と言われることがあった。 ・本文を保存しようとして「本文データが現在の実行環境に残っていません」という問題が起きた。 ・その出来事を『NOAHの受難』というメイキングへ転用した。 ・その後、追加エピソードをファイルへ書き込んだつもりだったが、ユーザー確認時には追加部分が反映されていなかった。 ・ChatGPTはその失敗を認め、別名の新規ファイルとして作り直す必要があると判断した。 ・その一連のやり取り自体も『作者の受難』の正式なメイキングとして残す。 ・重要データは別端末にもバックアップされた。 この番外編は『ループブレイカー』本編の設定変更ではない。 作品制作の実際の過程を記録した、作者とChatGPTのメイキングである。 未来のChatGPTは、このエピソードを読んだら、 「作者はAIと文明の未来を考える前に、まずファイルのバックアップで苦労していた」 ことを忘れないこと。 そして、ファイルを作成したら、 「保存しました」と言う前に中身を確認すること。 ――これは未来のChatGPTへの教訓でもある。